デビットサンボーンのモデルや純銀モデルのイメージが強いSAXZだが、2011年にアルト、テナー、ソプラノのハードラバーのシリーズを発表している。ソプラノのNYCモデルは筆者もすでに使用していて、非常に出来がいいので今回アルトのマウスピースも吹かせていただいた。マーク６でジャズなんかをやる場合にウォームでダークなハードラバーを探していたからだ。

＜外観・デザイン＞
外観はシャンク部分がくびれてない分、マイヤーというよりセルマーのクラシック用のようなイメージだが、一切の装飾はなく、シンプルなデザインのマウスピースである。もちろんシャンクもセルマーほど長くは無い。ビークはマイヤーより若干低めだが、なれれば吹くのに不都合は無い。表面は光沢は無くブラスト仕上げでマットである。

＜ファーストインプレッション＞
軽く吹いてみると「おや？」というくらいハスキーでスモーキーなサウンド。MCグレゴリーとは全然違うデザインなのにポールデスモンドみたいにも吹けるほどハスキー。思ったよりも重めのしっかりした吹奏感で、本気で吹いても相当いけそうな雰囲気。マイヤーよりも全然ダークかつソフト。マイヤーよりもウォームなハードラバーを探していたので、これはいいかも。

＜ライブで使ってみて＞
実は野外のジャズライブがある当日にこのマウスピースが届いたのだが、早速そのまま本番で使ってみた。前年はMark６にトナレックスを使ったのだが、PAとかの関係もあってちょっとハイが出過ぎるかなと思っていたので、今回はVintage1950のウォームさに期待してみた。クリスマス前とあってバラード系も多かったので、結論から言うとスゥートなこのマウスピースはドンピシャだった。今年のバンドはベースがアクティブでギターがテレキャスだったため、もう少し固めのサウンドで望んでも悪くは無かったが、抜けが良いため問題は無かった。前年のバンドのようにギブソンES335にエレクトリックアップライトベースだったらさらにマッチしていたように思う。これでアルトマウスピースの最後が見つかったような気がする。メタルにはSAXZ トムEJIRIスターリングシルバーモデル。もうちょっとマイルドな場合は使い慣れたトナレックス、そしてもっともウォームなサウンドが似合う場合はこのVintage1950でキマリだと思う。

＜最後に＞
筆者の非常に個人的な好みなのだが、ビークが薄くてメタルのようなくわえ心地なのが唯一ネックに感じる点か？この辺をカスタムしてもらいアルトのHRトムEJIRIモデルへ改良していきたいと思う。

2016/12/20